■「お金の壁の乗り越え方」(かんき出版)
お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる - 午堂 登紀雄
約3年間にわたるコロナ禍で、人々の経済格差は狭まるどころかむしろ拡大しているような印象があります。
それは統計からもはっきり出ていて、富裕層の仲間入りした人は増え、億万長者にさらにお金が集まるという状況になっています。
その理由のひとつが本書のタイトルにもなっている「壁」ということですが、これには大きく3つの壁があると私は考えています。
ひとつは「知識の壁」。
これはシンプルに「知っているか知らないか」で差がつくことが多いということを意味します。
やはり知識は武器であり、金融知識だけでなく、自分に影響を与える社会制度を広く知る必要があります。
次に「思考の壁」。
どんなに知識があっても、それを上手に使いこなせなければ意味がありません。
また、「自分には無理」とか「もうどうしようもない」などと思考を放棄してしまっては未来の展望が描けないでしょう。
そういう観点からも「どのように考えればよいか」という思考の壁は非常に大きいと思います。
そして最後が「行動の壁」。
どのような優れた知識、適切な思考をしたとしても、それが行動に現れなければそもそも何も知らないのと同じ、何も考えていないのと同じということになってしまいます。
やはり行動に移してこそ自分の状況が変化するのですから。
そこでこの3つの壁を乗り越えるための基本を本書でご紹介しています。
また、本書で想定している40代50代の読者にとっては、そろそろ老後の準備を始めないといけないけれど、あまり貯金ができなさそうで不安という人もいると思います。
しかし本当に重要なことは、「節約して〇〇万円貯める」とか、「積立投資で老後の資産を作る」などといったことではありません。
本質的に追求すべきは、お金を貯めることよりも、まず「どんな状況になってもお金を稼げること」「どんな時代環境でもお金を生み出す方法を作れること」だと考えています。
何かあったときのためにお金を貯めておくよりも、何があってもお金を生み出せる方が、真の安心につながるのではないでしょうか。
そのうえで、賢くお金を使えること。ここでいう「賢さ」とは、自分や自分の家族の満足度・納得度が最も高くなるようなお金の使い道・使い方を考えられることです。
お金は道具に過ぎません。
お金を使うことは何かを為すためです。
自分の目的に最も合致した対象は何か、そしてその目的を最も有利に達成できるところへお金を分配することを考える必要があります。
ただしこの「お金を生み出す」「賢くお金を使う」のは現実には難しいことです。
なぜなら、私たちはお金に関することを誰からも学ぶことなく、家族や周囲の人たちの振る舞いを見ながら、あるいは断片的に流れる情報などの影響を受け、なんとなく価値観を形成し、なんとなく生活してきたに過ぎないからです。
実際「お金を生み出す方法の作り方」なんて教わったことはないと思います。
だからほとんどの人は「雇われる生き方」しか選べない。
すると収入形態も当然「給料だけ」となり、収入はほぼ毎月一定額です。
だから収入の範囲でやりくりするしかないという発想になってしまう。
それが「節約貯金が大事」という観念が浸透している理由のひとつでもあると思います。
しかし、この先はそういう発想では豊かな生活は難しくなる可能性があります。
コロナで減収や仕事を失った人が多かった現実を見れば余計に、「何が起こるかわからない」「何が起こってもおかしくない」前人未到の時代だからです。
そこで、お金の3つの壁を乗り越える基礎体力をつけることを通じ、変化に翻弄されることなく「お金を生み出す」「賢くお金を使う」ための発想法をご紹介したいと思います。
ただし、物事に対する価値観は人それぞれです。
なので本書で書いてあることが全ての人に当てはまるとか、どんな状況でも正しいということではなく、あくまで自分が考えるためのヒントとして捉えていただければと思います。
ご興味がありましたら、ぜひ手に取っていただければと思います。
お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる - 午堂 登紀雄
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