2021年12月16日

新刊「やりたいことが見つかる思考のヒント」発売のお知らせ


新刊「やりたいことが見つかる思考のヒント」(学研プラス)
https://www.amazon.co.jp/dp/4054068472/
が本日発売になりました。
「やりたいこと」が見つかる思考のヒント - 午堂登紀雄
「やりたいこと」が見つかる思考のヒント - 午堂登紀雄

「はじめに」全文をご紹介します。

この本を手に取ったあなたは、「やりたいこと」を探していたり、見つからなくてモヤモヤしているのではないかと思います。
しかし結論から申し上げると「やりたいことが見つからないからといって焦る必要はない」というのが私の考えです。
なぜなら、やりたいことや好きなことは、「見つける」などという能動的なものではなく、「見つかる」という比較的受動的なものだからです。
これは私自身の経験と、これまでやりたいことを探そうともがいた結果、むしろ泥沼にはまっている人を多く見てきた結果として言えることです。

「期が熟す」という言葉があるように、やりたいことは自分の価値観や能力、自分を取り巻く状況などがマッチしたときに出会うものです。
そして「出会えたら幸せなこと。出会えなくても、それはそれで幸せなこと」と、少し冷めた目で脇に置いておくです。そもそも、やりたいこととの出会いは偶然の産物であり、万人が出会えるわけではなく、出会えなくても私たちは幸せに生きることができるからです。

むろん、やりたいことが見つかったならば、それは喜ばしいことであり、そのときは徹底的にやったほうがいい。やりたいことがあったのにやらなかった、まだやれる余力があったのにやり尽くさなかったという後悔はとても大きいからです。

しかし、やりたいことがないからといって焦る必要も探す必要もありません。やるべきことがあるとすれば、「やりたいことに偶然出会える可能性を高める、物事への関わり方」という、自分自身のチューニングです。

私自身もこれまでの人生を振り返ったとき、次のように問われたら、自信を持ってイエスとは言えない自分がいます。

やりたいことを見つけてきただろうか?
好きなことを仕事にしてきただろうか?
やりがいや生きがいを感じていただろうか? 
夢や目標を持って生きてきただろうか?
 
それでも私はいま、ストレスフリーで自由な人生を手に入れています。お金も時間もあり、何でもできるという幸福感でいっぱいです。
ずっと「やりたいこと」が見つからなかったにもかかわらず、です。

●期待に満ち溢れて大学進学したものの

私が最初に「やりたいことを見失う」経験をしたのは大学生時代です。

故郷の岡山県の高校を出て、大学進学のために上京しました。当時は「きっと高度な勉強ができるのだろう」とワクワクしていたのですが、授業に出てみると、教授たちは念仏のような話をするだけで、内容もまったく面白くありません。
その現実に愕然とし、何のために大学に進んだのかわからなくなりました。それで「海外留学でもしようかな」という、生き方に迷った人が思いつきそうな典型的な現実逃避の発想が頭をよぎったのです。
何も力が入らず呆然とする日が続き、授業料を滞納したことで実家の親に大学から連絡が行きました。親からの「とりあえず卒業はしておいたら?」という説得によって、なんとか大学にはとどまりました。

その後、「何かやることはないかな」と探していた折、大学生協で公認会計士の受験予備校のパンフレットを目にし、「これがいいんじゃないか」と思い、通い始めました。
公認会計士を目指したのは、「司法試験はちょっと厳しそうだけど、公認会計士なら難関資格だけど可能性があるかも」という安易な理由からでした。偏差値で受験先を選ぶ大学受験の延長のような感覚だったと思います。
そんな感じで受験予備校に通い始めたものの、やはり強引に見つけた目標だったからでしょう。勉強についていけずに途中で挫折しました。ダメ元で受験はしたものの、結果はやはり不合格。

就職活動にも出遅れ、結局どこにも就職が決まらないまま大学を卒業しました。しかし一人暮らしなので生活費を稼ぐ必要があり、やむを得ずフリーターとして暮らしていくことにしました。

私は大学時代からフリーター時代まで、約10種類のアルバイトを経験しましたが、特に何かやりたいことや好きなことがあってバイト先を選んだわけではありません。
ただ「生活するために必要だから」「時給が高いから」「家から通いやすいから」「時間の融通が利くから」といった単純な理由だけで働いていました。「やりたいことをやろう」という発想すらなかったと思います。

●転職、そしてまた転職

数か月後にようやく決まった就職先は会計事務所でした。公認会計士の勉強をしていたときに日商簿記検定一級を取得していたから、なんとなく知識を活かせそうだと考えたのです。
しかし、入社早々ミスばかりして、すぐに「使えないヤツ」というレッテルを貼られてしまいました。職場ではいつも上司や先輩に怒鳴られ、終業後は居酒屋に呼び出されては説教される日々。ストレスで朝起きられなくなり、遅刻をしてさらに怒られるという悪循環に陥り、うつ発症寸前でした。
そしてとうとう、「おまえ! こんな状態でこれからどうするんだ!」と詰め寄られる状況となりました。入社わずか1年で「はい、辞めます」と力なく答えるしかなかったという、みじめな形で退職しました。

次に転職したのはコンビニチェーン本部です。なぜコンビニを選んだのかというと、当時は破竹の勢いで成長していた業界でもあり、毎日利用していて身近であるがゆえに、努力の方向性が見えやすかったからです。
前職で味わったみじめさを払しょくしたかったので、次はがむしゃらに働こうと決めていました。
結果を出すために、どういうことをすればいいのか。コンビニという職場では、それを容易に知ることができました。
 
コンビニはスタッフを雇ってマネジメントし、接客などのオペレーションをレベルアップさせ、売れる商品を売り逃しなく注文し、上手に陳列し、売上から経費を引いた利益を最大化するというのが店舗経営の全体像です。
非常にシンプルな「企業の縮小版」ともいうべき仕事であり、やるべきことがわかりやすいところも私には合っていたようです。
そして文字通り、朝7時から夜10時まで毎日がむしゃらに働いたおかげで、店舗勤務を経てスーパーバイザーとなり、3年後には優秀社員賞を受賞するほどになりました。
ここで約5年間勤務しましたが、当時の私は、とにかくもっと自分を鍛えたいという欲求だけで働いていました。
 
次に外資系戦略コンサル業界に転職しました。もっと成長するためには、超絶に優秀な人たちと、高度で知的な仕事を経験する必要があると考えたからです。
しかし最初の頃はダメ出しを受けてばかりで、いつクビになるかと不安はありました。それでも3年目を迎えるころになると、それなりに認めてもらえるようになりました。

とはいえ、コンサルタントの仕事は基本的にクライアント企業への提言にとどまるものであり、基本的には決定も実行もすることはありません(実行支援まで踏み込むのはレアケース)。だから、せっかく提案した戦略が実現されないというもどかしさを感じることもありました。
そんな毎日を過ごすうち、徐々にモチベーションを失いつつある自分に気付きました。そして「自分で何かをやりたい」「起業したい」という思いが沸々を湧いてきたのですが、何で起業すればいいかわからない。

そこで、ひとまず激務からだけでも解放されようと、「自分が働かなくてもお金を稼げる仕組みづくり」を目指して、不動産投資を始めました。
1年ほどで物件規模が3億円くらいになり、不動産からの家賃収入でなんとか生活できるレベルになりました。それで思い切って会社を辞めました。しかし辞めても何もすることがなく、ただヒマなだけ。これでは物足りない。
それで個人的な趣味にすぎなかった自分の不動産投資の経験を活かそうと、不動産投資のコンサルティングビジネスを始めることにしました。当初は会社を大きくしようと奮闘し、最盛期にはスタッフ30名余りを抱える規模の会社になりました。

しかし、次第に従業員や組織のマネジメントがしんどくなり、東日本大震災の直後に起こった原発事故を見て、いろいろ抱えるのは面倒だし身動きとれないリスクだと、やめて一人会社にしました。
そんなわけで、現在は個人投資家、各種スクールの運営、そして本書のような原稿を書く仕事をメインにしています。


●流され続けた私の人生

このように改めて振り返ると、確かに努力のようなことはしてきたし、ジョブチェンジでは振り切った決断をしているとは思うものの、それ以外はわりと流されて生きてきたように感じます。
流されつつ、でも目の前のことには懸命に取り組む。与えられた役割は責任を持ってやり遂げる。面白くなくても、面倒でも、うまくやれて周囲から感謝されれば、それなりに納得感が得られた。
そういった積み重ねで自分に自信を持つことができ、それなりに幸福感が得られるようになったのだと認識しています。

人生のところどころでは「やりたいこと」を見つけ、「やりがい」を感じる場面がありましたが、全体的に見るとそれはごく短い時間に過ぎません。
基本的に「必要だからやる」「それが自分の仕事だからやる」場面のほうが圧倒的に多かったのは間違いありません。
社会に出てから30年、粛々と、淡々と、自分がやるべきと感じたこと、必要だと思うことをやってきた経験を通じ、自分なりに納得していることがあります。
それは、無理に「やりたいこと探し」をする必要はなく、「やりたいことがない」などと悩む必要もないということ。そして、
「自分のことをよく知り、素のままの自分でも受け入れられる環境を選ぶ」
「根拠のない社会的圧力や自分が縛られている固定観念から、自分を解放する」

結局はこの二点に尽きるのではないかと思っています。
自分がどういう資質や特性を持っているかを知る。そして、その資質や特性を活かせて心地よく過ごせるのは、どういう仕事なのか、どういう環境なのかを模索する。
すると自然にやりたいことに出会える可能性が高まります。仮に出会えなくても、自分を飾らず盛らず、背伸びもせず気張らず、自然体で生きていれば、幸せを感じられます。

いまの世の中には「根拠のない常識」「空気という社会的圧力」が満ちていて、「こうあるべし」「こうでないといけない」という固定観念に縛られている人が多い印象があります。
「あきらめてはいけない」「やりたいことを見つけよう」「やりがいのある仕事をしよう」といった圧力に、息苦しさや生きづらさを感じている人は少なくないと思います。
そういった圧力に負けて、本当は牢獄の扉は開いているのに、ずっと牢獄に居続けるような生き方は、ただ自分を追い詰め、生きづらくなるだけです。
もしあなたが、こうした“生きづらさ”を感じているのであれば、見えない圧力や固定観念から自由になるため、これまで当然だと思っていた考え方を「やめてみる」という方法をおすすめします。自分をしがらみから解放させることで、いつも感じていた不安や悩みや迷いの多くは払拭できるはずです。

本書では、あなたがやりたいことに出会えるように、あるいはやりたいことが見つからなくても幸せに生きられるように、「自分を知る」「自分を活かす道を知る」「固定観念から抜け出す」ための思考のヒントを提案したいと思います。

「やりたいこと」が見つかる思考のヒント - 午堂登紀雄
「やりたいこと」が見つかる思考のヒント - 午堂登紀雄

目次
1 自分を知る

■「やりたいことがないのは悪いこと」という考えをやめてみる
やめられない人 やりたいことのない日常に苦しみ続ける
やめられる人 平穏な毎日を楽しく過ごすことができる

■「やりたいことを探す」ことをやめてみる
やめられない人 いつまでも焦って自分を追い詰める
やめられる人 やりたいと思えるまで落ち着いて待てる

■「自分のために仕事する」という考え方をやめてみる
やめられない人 自己満足だけで周りから評価されない
やめられる人 周りの人から常に必要とされる

■「自分探しの旅」をやめてみる
やめられない人 結局「やりたいこと」は見つからない
やめられる人 やるべきことがすぐに見えてくる

■「特技や強みにこだわる」のをやめてみる
やめられない人 望んだ仕事に就きにくい
やめられる人  自分の能力を素直に見つめられる

■「評価されない」と愚痴るのをやめてみる
やめられない人 どの会社でも同じことを繰り返す
やめられる人  結果を出すための適切な努力ができる

■「会社の方針に不満を言う」のをやめてみる
やめられない人  不平・不満で人生を無駄遣いする
やめられる人  自分の身の振り方を適切に判断できる

■「給料が上がらない」という不満をやめてみる
やめられない人 いつまでも同じ会社で嘆き続ける
やめられる人  自分の市場価値がわかり、適正な年収を得られる

2 自分を生かす道を知る

■「好きなことだけ」追うのをやめてみる
やめられない人 可能性がどんどん狭くなる
 やめられる人 思わぬ自分の才能に気づきやすくなる

■「仕事に必然性を求める」のをやめてみる
やめられない人 自分に合う仕事が見つからない
やめられる人 目の前の仕事に素直に向き合える

■「やりたいことを極める」という考え方をやめてみる
やめられない人 一度の失敗で人生に絶望する
やめられる人 新しいことに次々とチャレンジできる

■「キャリアプランを構築する」ことをやめてみる
やめられない人 現状に不満を持ちやすくなる
やめられる人 人生で何が起きても納得できる
■「夢にこだわる」のをやめてみる
やめられない人 自分を縛ることになりかねない
やめられる人 生き方の選択肢が広がる

■「人から教えてもらう」のをやめてみる
やめられない人 詐欺や情報商材のカモになりやすい
やめられる人 他人から騙されにくくなる

■「趣味や遊びに逃げる」のをやめてみる
やめられない人 気持ちが満たされず、悩み続ける
やめられる人 必要な能力の獲得に集中できる

■「内定をすぐ欲しがる」のをやめてみる
やめられない人 ブラック企業のカモになる
やめられる人 転職で無用な苦労を避けられる

■「SNSに没頭する」のをやめてみる
やめられない人 何もせず年齢だけを重ねる
やめられる人 経済的自由を得ることができる

3 固定観念から抜け出す

■「3日坊主を恐れる」のをやめてみる
やめられない人 視野が狭くなりがち
やめられる人 要領の良さや応用力が身につく

■「目の前の仕事をバカにする」のをやめてみる
やめられない人 周囲の人たちから疎まれる
やめられる人 貢献実感が得られるようになる

■「競争に勝とうとすること」をやめてみる
やめられない人 活躍できる分野が狭くなる
やめられる人 周囲から評価されやすくなる

■「学歴コンプレックス」をやめてみる
やめられない人 人生に引け目を感じ続ける
やめられる人  自分の才能を正しく活用できる

■「スペックで会社を選ぶ」のをやめてみる
やめられない人 最終的に会社が嫌いになる
やめられる人 自分の会社の魅力に気づく

■「できない自分を憐れむこと」をやめてみる
やめられない人 いつも後悔することになる
やめられる人 財産となる経験を積んでいける

■「親や親戚に従う」のをやめてみる
やめられない人 いつまでも他人に振り回されながら生きる
やめられる人 節目節目で適切な選択ができる

「やりたいこと」が見つかる思考のヒント - 午堂登紀雄
「やりたいこと」が見つかる思考のヒント - 午堂登紀雄
posted by 午堂登紀雄 at 11:48| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: