
人生は「あきらめる」ほうがうまくいく! - 午堂登紀雄
2020年、世界中で猛威をふるった新型コロナウイルス。この影響で、多くの人がさまざまなことをあきらめざるを得ない状況に追い込まれました。
事業の継続を断念した、仕事を辞めた、進学や学業をあきらめた、結婚式や告別式をあきらめた……。
この「あきらめる」には、無念さ、苦しさ、みじめさ、挫折、夢破れて撤退、といった苦渋に満ちた敗北のイメージがあります。
また「あきらめた人」には、無能、意志が弱い、根性なし、無責任、などというダメ人間のイメージがあります。
一方、「継続は力なり」「あきらめたらそこで試合終了だよ」「石の上にも3年」「初志貫徹」などの言葉が私たちを縛ります。努力という名の宗教が、社会的な圧力をかけているようにすら感じます。
しかし、あきらめるのはそんなに悪いことなのか。あきらめたら本当に試合は終了するのか。
これまで私はあまり深く考えてきませんでしたが、探ってみたいと思い書いたのが本書です。
私の人生はあきらめたことのほうが多い
というのも私自身、振り返れば多くのことをあきらめながら生きてきたからです。
たとえばこんなことです。
・小学校のとき、アマチュア無線に憧れて免許を取ろうと思ったけれどむずかしすぎてあきらめた
・中学校ではバレーボール部のキャプテンをしており、高校ではバレー強豪校への進学を考えたこともあったが、毎回地区予選で初戦敗退の自分の実力ではレギュラーにすらなれないだろうとあきらめ、距離の近い新設校へ進学した
・東京で進学したいが国立大学は東大・東工大・一橋大・東京外語大など難関ばかり(他にもあったのに当時は知らなかった)なので受験はあきらめ、私立大学に絞った
・日本の公認会計士をあきらめた(他にも旅行業務取扱管理者や社労士、証券外務員、宅建などの通信講座の教材を買ったことがあるものの、ほぼ手をつけずに捨てた)
・英語の習得をあきらめた(ずっとコンプレックスを抱え、吹っ切れたのがなんと44歳のとき!)
・事業をあきらめた(車のカスタマイズ事業、不動産検索サイトの運営、エステサロンの経営、化粧品の通販、不動産仲介業、語学留学斡旋業など)
・経営者として組織を率いることをあきらめて「ひとり会社」になった。
一方で、あきらめなかったこともあります。
・米国公認会計士(とにかく合格するまで1年半粘った)
・執筆業
あれ、これだけ? あきらめなかったことよりもあきらめたことのほうが多い!
でも振り返って考えてみれば、あきらめるというのは選択と決断だったというのが素直な感想です。
あきらめるとは、自分に向いていない道を捨てて、より向いている道を模索することのような気がします。
私は「経営者」をあきらめ、「執筆業」をあきらめなかったわけですが、それは自分が本当に好きなことを選ぶことでした。
そして、前の試合はたしかに途中で終了したかもしれないけれど、自分が勝てそうな新たな試合が始まったということに気がつきました。
自分に向かないと感じたこと、充実感を覚えないこと、儲からないことを何度も何度もあきらめて、ようやく今の最高に幸福な状態にたどり着くことができたのだと思います。
子どもの頃に思い描いた夢をずっと持ち続け、それを実現した人ももちろん素晴らしい。
でも、あきらめたからこそ手にできる道もあります。
プロ野球選手になることを選べば、プロサッカー選手になることも、フィギュアスケートでオリンピックに出ることもあきらめなければなりません。掛け持ちでは労力が分散し、一流にはなれないでしょう。
この人と結婚することを選べば、あの人との結婚はあきらめなければなりません。
日本では重婚は法律で禁止されているし、掛け持ちするとむしろ大変なことになりそうです。
二兎を追って二兎とも得られれば、もちろんそれが理想。
私自身、さまざまな場面で二段構え≠意識しています。
しかし、二兎を追う者は一兎をも得ずということも、現実にはやはり多いような気がします。
未来を明るくする前向きなあきらめ方が必要
人生は選択の連続で、その積み重ねで今がある。
もしあそこで違う選択をしていたら?
違う大学に進んでいたら?
違う会社に就職していたら?
あの会社に転職していたら?
別の人と結婚していたら?
そんな大きな決断だけでなく、どの本を読むか、誰に会うか、何を勉強するか、何にお金を投じるか、あの人からの誘いを受ける(断る)かといった小さな決断によっても、「別の道を選んでいたら、違う人生になっていたかもしれない」と思うことはたくさんあります。
私自身、違う高校に行っていたら? 別の大学を選んでいたら? あの会社に就職していたら?
もしかすると、今のような自由な生き方をしていなかったかもしれません。
違う人生を生きることも試すこともできませんが、でも選んだ道の軌道修正はできるし、今から別の道を選ぶことはできます。
もし今が不満であれば、これからの選択を適切にすればいいだけのこと。
それには今やっている何かをあきらめなければなりません。
あきらめるとは「幸福に向かうチョイス」であり、「より大事なものを選ぶために、そうではないものを捨てる」ことなのでしょう。
それには、「失意」や「挫折」によるあきらめ方ではなく、よく言われるとおり「未来を明るくする、自分の適性や才能を明らかにする」という前向きなあきらめ方が必要です。
物事をあきらめるタイミングはあるのか。どういう場面ならあきらめたほうがいいのか。良いあきらめ方があるとすれば、それはいったい何か。
本書は、そんな発想や技術を提供する、幸福に向かう「あきらめ本」という位置づけで書きました。
この本が、あきらめずられずに苦しんでいるあなたにとっての選択や判断の一助になれば幸いです。

人生は「あきらめる」ほうがうまくいく! - 午堂登紀雄
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