2018年09月27日

週刊ダイヤモンド様が大きなミスを。。

週刊ダイヤモンドのこちらの記事、ミスリーディングであり、計算も間違っているので修正します。
https://diamond.jp/articles/-/180404

img_a52b8f2a14beb88ae7af655a5153e63c406318.jpg


この上の図での計算では、費用で111万を足すと二重計上になるので足してはいけない。
なぜなら、導入効果は収入欄で織り込み済みだからです。
本来の計算は、
売電収入426万円+(設置前の光熱費281万円ー設置後の電気料金111万円)−初期費用600万円=ー4万円
です。

そうしたらやはり他からも指摘があったようで、最後のページで捕捉説明が入っていました。
https://diamond.jp/articles/-/180404?page=7
しかし、そのロジックを言うなら費用のところで導入前の光熱費を引かないといけない。
つまり、
売電収入426万円ー(初期費用600万円ー設置前の光熱費281万円+設置後の電気料金111万円)−=ー4万円
という計算になるはずです。

それにFIT終了後の計算も不足があります。たとえばパターン2で買取価格6円の場合は、
収入473万円+(設置前562万円ー設置後222万円)−初期費用600万円=213万円
となり黒字なのですが、この計算にはパワコンの修理交換が入っていない。

パワコンのメーカー保証は10年が一般的で、15年前後で交換する前提になっており、仮にパワコン2台で1台20万円なら40万円の交換代がかかるから、173万円の黒字という計算になります。
こんな基本的なことを想定できないのは、太陽光を知らないからなのでしょう。
FPの計算も間違えているし、補足説明もロジックがおかしいし、経済週刊誌の大御所の編集部もチェックできなかったのだろうか・・・。

しかしきっとチェックしても気づかないし訂正もできなかったと思います。
なぜなら、おそらく最初から編集意図がFIT制度を批判するという前提で記事が書かれたからです。
先入観・固定観念が邪魔して、見ようとしないからほかの側面が見えなくなる。

確かに高い買取制度のために再エネ賦課金という形で一般家庭の負担を招いているのは事実であり、そこは制度上のゆがみだとは思います。
つまり一般家庭が発電事業者のためにお金を払ってくれていることになっているわけです。

しかし、「大ウソだった」などというのは明らかにミスリーディングでしょう。
実際、この記事を鵜呑みにした情報リテラシーの低い人が大勢釣れています。(記事下部のツイッター)
https://snjpn.net/archives/69477
伝統も影響力もある経済誌が、一面的な批判だけで終わる浅い記事を書くのは、バランス感覚がないなと感じてしまいます。
もっとも、釣り記事としてなら、私も釣れているわけで成功なのでしょうが。

それに、FITを批判するためにあえて極端な事例を持ち出している印象です。
仮にオール電化リフォームではなく、単に太陽光を導入しただけの余剰売電であれば、初期費用はもっと安くなり、売電金額も増えるので回収期間はもっと短くなるはずです。
また、出力抑制地域の場合、余剰売電の家庭が抑制が事業者よりも後になるので、10kw以上の事業者より抑制リスクが低減されるという安心感もある。
なのに「電気代の節約しかない」というのは何も言っていないに等しい。

それだけでなく、オール電化でもし床暖房を導入したのであれば快適性が得られただろうし、IHコンロを入れたのなら掃除やメンテが楽になる。そういう利便性も享受しており、お金だけではないはずです。

とまあ、いろいろ書いたものの、要するに太陽光はいまでも投資メリットはあるし、私も継続投資していきたいと思っています。
むろんボッタくり業者もいるので、複数業者から合い見積もりを取るのは大前提ですが、リフォームにお金をかけすぎなければ、発電設備の値段も下がっていますから、10年以内での投資回収は十分可能です。

この記事を読んで感じるのは、これまで書籍でも書いてきたことではありますが、メディアを作っているのはやはり普通のサラリーマンであり、読者よりも優秀だとか、知識も豊富だとは限らないということです。
そして、記者個人の興味関心や価値観に基づいて記事が作られることもある。
あるいは編集長や編集部の意向、社の方針などで、誘導的な情報になることもある。
お金の専門家と言われるFPですら計算を間違い、その言い訳も論理的でないことを言う。

だから読者自身が賢くなり、「あらゆる事象には複数の側面がある」ことを意識して情報を批判的・多面的に読まなけれならないな、と改めて思いました。

もう一つ。
最後のページのFP氏の補足で「導入した場合としなかった場合の比較ではなく」とありますが、その比較をしないと回収できるかどうかわからないので、導入が良かったのか悪かったのかが検証できません。
検証できない計算方法で検証しようとするとは。。
つまりこの言い訳は論理的に破綻しています。

なぜこのFP氏は恥の上塗りをしてまでミスの正当化をするのでしょうか。
それは、計算ミスを肯定すると、まさしく「10年で回収できる」ことを証明するわけで、この記事のメッセージを根底から否定することになるからです。
しかしこの記事を放置すると、自身の論理性のなさをネットに残し、評判を下げることになりかねないのに、そうまでしてこの1記事を守りたい理由があるんでしょうかね・・・。

自分の間違いを正当化しようとすると、どうしても矛盾が出てきます。論理的なほころびが出てきます。
人間は誰だって間違えることはあるのに、それをを認めることはそんなに難しいのでしょうか。

いっそのこと、「ゴメンね、計算間違ってて、10年くらいで回収できるのは本当でした。でもいろいろ問題・課題があるから、もっと議論が必要だよね」みたいな落としどころで修正したほうがよいのではないかと思ってしまいます。
posted by 午堂登紀雄 at 11:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: