2009年05月28日

メタボはウソじゃないのか?

世の中の常識と言われるものはたくさんありますが、因果関係がはっきりしないものにお金を使うのは、自分の資産を減らすことになりかねません。

たとえば既に市民権を得た感のある、「メタボ」「メタボリックシンドローム」。流行語大賞にもなりましたね。ひらたく言うと、男性は腹部が85センチ以上、女性は90センチ以上の人は「内臓脂肪の蓄積による健康上の危険人物」と判定される、というものです。

要するに今まで病気でなかった人でも病気になるという「新しい病気」で、メタボの健康診断を受け、メタボと判定されたら改善指導を受け、また検査に行く必要があります。

これは僕から見れば、一般個人として、あるいは経営者として、今まではなかった追加コストがかかることになるので、いったん立ち止まって考えてみることにしました。
「健康に気を配る重要性はわかるけれど、生活習慣という極めてプライベートな領域にまで国が介入し、税金を投下し、国民からも費用を徴収しようというのが、なんとなく附に落ちない。しかも、そもそもの診断基準もずいぶん乱暴な話だ。医療費削減と言われながら、逆行しているようにも感じる。」

そう思っていたら、やはりありました。

「脱メタボ」に騙されるな (新書y)


「脱メタボ」に騙されるな (新書y)

生命保険会社が公表しているデータによれば、「やせ」と「超肥満」が危険であり、「ちょっと肥満」がもっとも長生きするそうです。
本書ではさらに、利権問題やメタボ検診の制度化プロセスの問題にまで切り込んでいますが、結論は、少々メタボ程度でも特に問題ないということです。

もちろん、本書の内容を全面的に信用するわけにもいきませんが、メタボ検診制度は見直しが予定されているようですし、メタボと病気の因果関係はまだ納得できるレベルではない。
なので、個人としても会社としても、メタボ検診にお金はかけない、というのが現時点での僕の結論です。

環境問題でも、現時点で僕は、「エコロジーではなく、エコノミーを判断基準として行動しよう」と考えています。

つまり、環境に優しいという理由で割高な商品は買わないが、自分のコスト削減や時間削減につながる商品は積極的に選ぶ、ということです。

たとえば何かをリサイクルするには膨大なエネルギーが必要ですから、本当にエコなのかはそもそも疑問が残る。それにリサイクル商品は値段が高い割にはクオリティもそれなり。

レジ袋を燃やすときにCO2が発生するため、減らすべきだという意見もありますが、市区指定ゴミ袋だって燃やせばCO2は発生しますし、そのゴミ袋を作るために石油の良い部分が使われている。そして国民にとってはコストアップになる。

しかしエコノミーに配慮すれば、電気・ガス・水道といった自分の生活コストを削減することができますし、結果としてはエコロジーになるのではないでしょうか。
posted by 午堂登紀雄 at 16:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 午堂登紀雄の独断と偏見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
午堂さん、お邪魔します。
早川洋平です。

「ちょっと肥満」がもっとも長生きするっていうのは意外でした。

それならもう少し太っても大丈夫だなあと(笑)

エコについては
確か割り箸が「木を剪定した際に出た切れ端を使っている」とどこかで聞きました。

つまり割り箸のために気が着られている訳じゃないんですよね。

かたやエコの代名詞であるマイ箸のために木が切られていたら…

私も健康やエコに対して高い関心はありますが、情報に流されないようにしたいと思います。

今後もブログ、読ませていただきますね!

Posted by 早川洋平 at 2009年05月29日 20:21
メタボの記事を読みました。私は予防医学(健康診断)を仕事にしている医師です。メタボとは病気ではなく、健康と病気の間のグレーゾーンです。今までは健康診断で異常値を示した人への健康指導は医師により行われていました。しかしグレーゾーンを作ることで保健師や栄養士が医師の指示を仰ぐと無く独自に指導できるようにしようとしたのがメタボ検診の理念になります。腹囲が何センチがからどうだというのはあくまで、一般の人に分かり易いからの基準なのです。薬事法も改正されコンビニ等でもいろいろな薬が買えるようになります。これらの法律改正の本質は、医師だけに独占的に許されていた医療行為の自由化だと思われます。ブログにあるようなメタボの診断基準についてなどの各論について考え出すと本質が見えなくなるのではと思います。医療の自由化という視点にたてば新たなビジネスチャンスが生まれるはずです。午堂さんでしたらぜひこの改正をビジネスチャンスに結び付けてもらいたいと思います。
Posted by bmc56 at 2009年05月30日 00:05
みつはしです。

確かに「メタボ検診」自体が国策のような気もします。
いろいろな「権益」も生みますしね。


さすが午堂さんは、
「一面的に物事を見ない」ということを
日々実践されているんだなと、
実感いたしました。
Posted by みつはし at 2009年05月30日 09:15
>三橋さん
ありがとうございます!
まだまだ未熟ですので、いろんなご指摘をお願いします!


>bmc56さん
ありがとうございます!
専門家からの貴重なご意見、ありがとうございます。
メタボ検診の本質を考える必要がある、というご指摘は、まったくその通りです。

>これらの法律改正の本質は、医師だけに独占的に許されていた医療行為の自由化だと思われます。

なるほど。そういう視点は持っていませんでした。医療従事者に対する情報と、国民に対する情報が違っていて、それが人によって異なる解釈を生むから、さらに何が本質か見えにくくなるのかもしれません。

僕も考え直してみると、もっと国民が健康に意識を向ける必要があり、それが結局は医療費や社会保障の負担を軽減させる。そういう意味では、内臓脂肪に対する注意を喚起する、という役割を果たしているように思います。

確かに貸金業法改正のときのように、法改正はビジネスチャンスの宝庫。そして健康ビジネスはますます盛んになると思うので、宝の山かもしれません。お医者さんも、アンチエイジングなどの分野に進出していますし。

では、僕には何ができるだろう?
ここから先が楽しいんですよね。


>早川さん
ありがとうございます!
割り箸もそうですよね。マイ箸は木材の良い部分を使っているという話もあります。。
それよりスゴイのが、年間何万棟もの木造住宅が壊されていて、それが産業廃棄物となっている点。どこがエコじゃい、と思いますよね。

高速道路1,000円というのも、排気ガスまき散らし支援政策と言えなくもない?やはり僕たちは結局、環境より目の前の経済を重視せざるを得ないのでしょう。

でも、そういう矛盾だらけの中を、先入観とか思い込みを極力排しながら、自分の頭で考えていかなければならないんですね。
Posted by 午堂登紀雄 at 2009年06月01日 12:18
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