ちょっと古い話ですが、先日、こんなニュース記事を目にしました。「京都市はCO2削減と夜の景観改善のため、コンビニの深夜営業に対する自主規制を要望」というものです。
そもそも世界のCO2排出量の多くはアメリカや中国などの大国や新興国が占め、日本の排出量は世界全体の5%だそうですから、日本が排出量をゼロにしても、5%しか減りません。むろん経済活動を営む以上は、ゼロは難しい。夜間であっても、冷蔵設備の電源を切ることはできません。
それに電力会社の設備は夏場のピークタイム(もちろん昼間)に合わせて増強されています。つまり蛍光灯を夜の数時間だけ消したところでCO2削減効果は知れています。
反面、コンビニの夜間の売上が落ちれば京都市も税収が減る。そうすると、得られる効果よりも、デメリット、つまり不便さとか、深夜帯のセーフティネットの減少など、社会的代償の方がはるかに大きいということがわかります。
ではどうすべきか?
CO2削減のためには、排出量が多い国で対応すれば効果が大きいわけです。同じ空気を吸っているわけですから、CO2削減は日本だけのことを考えても仕方ない。
そこで、世界トップレベルにある日本のエコ技術・省エネ技術を大国や途上国に輸出し、使ってもらう。そうすると、日本も輸出が増えてうれしいし、それを買った国の人たちも、省エネが実現でき、エコにもつながるわけです。
そして、排出権取引には関与しない。京都議定書で定められたCO2削減目標を達成できそうにない日本は、他国から排出権を買うために数兆円の予算を計上しているそうですが、結局は税金が充てられます。
排出権取引をしてもCO2排出総量は変わらないですから、結局はEUやロシアの金儲けのために僕たちのお金が使われるということになってしまいます。
これが正しいかどうかはともかく、本当の目的は何であり、そのために何を優先して手を打たなければならないかを突き詰め、費用対効果・時間対効果の観点から、論理的に打ち手を特定しなければならないということです。
目につくところからわかりやすい対策を打つ、という戦略性のなさは、市民生活の利便性を犠牲にし、結局は税金の無駄遣いにつながります。
「CO2排出量の増加」と「気温の上昇」というデータがあれば、誰もが「CO2排出量を減らさないといけない」と考えます。日本政府はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の提言をもとに政策立案しており、新聞は政府の大本営発表をそのまま掲載しています。だからCO2削減を中心に予算が使われ、世論も同じように形成されるのでしょう。
しかし統計学では、相関関係があるからといって、必ずしも因果関係を意味するわけではないことを学びます。
また、「気温の変化に最も影響を与えるのは水蒸気の量であり、CO2量が気温に及ぼす影響は無視できるほど小さい」とする意見は数多く存在します。
もっと調べると、イギリスの科学誌「ネイチャー」には、海流循環によって今後は寒冷化に向かう、という論文が掲載されましたし、アメリカの「ニューズウイーク」には、「地球の気温上昇には、農業の生産性向上による食糧難対策や、寒さによる死者の減少など多くの利点もある」というレポートもありました。
にもかかわらず、テレビや新聞といったメディアにこれらの考え方がほとんど見られないのはなぜでしょうか。テレビは広告主への配慮もあり、環境対策のあり方にケチをつける報道はしにくいのかもしれません。
知人のアナリストは、「株価対策としてCO2対策を謳う企業は多い」と言っていました。多くの企業が環境対策に積極的に取り組んでいることをアピールしていますから、それを否定するのは難しいと思われます。
一見、まっとうに見える意見も、正反対の方向から、あるいは複数の方向からとらえることが必要です。そうすれば、「一つの意見だけに流されると、解決方法を間違ってしまう」ことがわかります。それは、情報に流され自分の資産を失ってしまうことになってしまいますからね。
もちろん、社会・経済問題などは、自分でウラをとることは難しいですが、著者から差し出された答えに性急に飛びつかないことが必要です。
2009年05月27日
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排出権取引は、あまり一般市民には、知られない間に、凄い金額が、動いてますね。
個人的には、海外に使うより、国内の、個人や、中小企業に、使ったがいいのではと、考えるのですが。
例えば、ソーラー発電の、普及支援や、それによる余剰電力の購入費増等ですが。
突然のメールすみませんでした。
コメントありがとうございます!
そうなんですよね。なぜわざわざ他国を儲けさせる必要があるのでしょうかね〜。
国内でも排出権取引の動きがあり、大手企業はますますコスト負担に悩まされる状況になりそうです。
低排出ガスの自動車購入支援は人気みたいですね。
結局人はお金で動きますから、日本政府ももう少し国益を考えて、takeさんがおっしゃる余剰電力購入のように、個人の利益につながる政策に税金をつかえば、エコはさらに進むむのでしょうね。