2009年05月22日

派遣社員も日本の宝

昨年末は派遣村問題が勃発し、製造業の派遣は禁止だの、派遣法の見直しだの、派遣社員の悲惨さばかりがクローズアップされている。

しかし、前回のフリーターと同様に、僕は派遣社員も日本にとって必要だと思う。
ある派遣社員の友人(女性)と話をしたときのこと。彼女いわく、

「小さな子供を持つ母親としては、派遣社員という働き方はとてもありがたいの。子供は突然熱を出すこともあるし、残業になって保育園に迎えに行くのが遅れたら、ぽつんと寂しい思いをさせてしまうこともあるでしょ。でも派遣なら、最初から残業のない職場を選べるし、時間も決められる。

正社員の時のように、周りが残業していて申し訳ない気持ちで帰るよりも、精神的にも負担が軽減されるの。先日子供が入院したときも、派遣を一時お休みさせてもらったのだけど、そういう柔軟さがあるのも派遣の良さだと思う。

キャリアを優先させたい女性もいると思うけど、私のように子育てを優先させたい女性もいる。精神的に弱い女性もいて、合わなかったら職場を変えられるというのも、働く安心感につながる。

確かに派遣切りで生活の問題が出てくる人もいるかもしれないけれど、問題点ばかりに焦点を当てて選択肢を狭めるような今の派遣論議は、本当は、働く女性や子育て環境のことを、本気で考えていないんじゃないかと思ってしまうのよ。」

なるほど、そういう意見もあるんだなあ…。

僕は経営者なので、やはり経営的視点から見てしまう。たとえば派遣契約の自由度が制限されれば、企業は人件費の調整弁を失う。景気が良いときは問題ないが、景気が悪いときは人件費が業績を圧迫することになる。ということは…

<失業者はむしろ増える>
企業は不景気の時も考えて、雇用を慎重にせざるをえない。そうすると、採用基準が厳しくなり、門戸は狭くなる。そして、今までは仕事に就けた人までもが職にあぶれることになる。

また、輸出型企業や国際競争にさらされる製造業は、高コストな国内では外資と戦っていけなくなるため、コストの安い国外に転出する企業が増える。つまりますます日本の失業率を高めることにつながる。

<税収が下がり行政サービスが低下する>
国外に転出する企業が増えると、結果として税収が下がる。つまり行政サービスは低下し、ますます不便さや国民への負担が増える。

<労働条件が悪化する>
企業はできるだけ少ない人員でまわせる体制にしようとするし、少しくらい忙しくなっても、人を増やさず現状の体制をできるだけ維持したい。だから正社員への仕事の負荷は増大し、過重労働に陥る人も出てくる。

<給与が増えず生活はますます苦しく>
正社員は社会保険などの負担が企業側にあるため、正規雇用を重視すると、コストアップは避けられない。それは業績を圧迫し、給料を上げることが困難になる。

また、そのコストアップ分を商品やサービスに転嫁せざるをえない状況も出てくる。つまり給料は増えないけれども、モノやサービスの値段だけが上がり、一般市民の生活はますます苦しくなる可能性もある。

<痛みを伴う改革の覚悟はあるか>
そういう状況になる可能性を許容する覚悟があって、派遣社員禁止の議論をするならばいいと思う。でも単に、「気の毒」「かわいそう」という情緒で議論し、ましてやそこに税金をつぎ込むなんて、勘違いではないか。(まあ、政治家は票集めという目的があるので、国民感情に乗っかるのは、戦略としては正しいのだろうが)

僕もフリーターをしていたことがあり、周りの人は心配してたようだけど、自分的には別に悲惨ということはなかったなあ…。意外に、周りが思うほど本人はそれほどでもないっていうこともあるかもしれない。あると思います!(エロ詩吟の木村天津ふうに・笑)

もちろんなかには企業側が派遣契約満了前に切ってしまうということもあるが、もし契約書に特例の条項がなければ、これは単なる契約違反なので、債務不履行として民事法に基づいて当事者同士で解決すべきものではなかろうか。弁護士費用が払えない、という人のための救済措置はあってもいいかもしれませんが。

とかなんとか、これは僕の一方的な考え方なので、それよりも、冒頭の女性のような人たちの声をもっと吸い上げてみる必要があるだろう。
posted by 午堂登紀雄 at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 午堂登紀雄の独断と偏見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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