2009年05月21日

ビジネス書の逆を行こう

先日、人材紹介会社の営業が来た。むげに断るのも悪いし、せっかくだから業界の状況を聞いてみようと思って、アポイントを受けた。

彼らは新卒中心に採用コンサルをやっているそうなのだが、やはりこのご時世で採用枠そのものが少なくなり、厳しいらしい。しかし、厳しい理由はそれだけじゃないという。
新卒学生の質が落ちている、というのだ。
どういうことかと聞くと、ゆとり世代ゆえに、やりたいことが見えずぼんやりしている人が多い。そのため企業研究や自己分析が甘く、面接で志望動機を聞かれて明確に応えられない。結果として内定が一つもとれない、ということらしい。

おそらく他にも、大学全入世代ゆえに、競争の厳しさを経験していないからかもしれないとか、部活に入る人が少ないので、勝負に勝つ経験や、逆に負けてくやしいと感じる経験が少ないからかもしれないとか、いろんな理由は思いつく。

しかしその一方で、かくも厳しい雇用情勢でありながら、一人で内定を4つも5つもぶんどっていく学生もいて、二極化がさらに進み、超二極化が強まっているそうだ。

<働かなくなった日本人>
ひるがえって、午後5時ごろ、新橋駅を出て銀座方面に向かう途中、居酒屋を何軒か通り過ぎた。驚いたことに、既に客が結構入っていて、しかもおじさんばかり。彼らは残業ゼロで仕事をこなすスーパービジネスマンなのか、あるいは、たまたまその日だけなのか…。

でも、もし5時から飲んでいるおじさんが失業して、その人達の雇用対策として税金が使われるとしたら、僕の納税意欲はますます低下するだろう。

そもそも、日本人は働き過ぎとか、エコノミックアニマルとかいうのは、1980年代のことであり、もう20年以上も昔の話。僕がつきあっている中国人、韓国人、アメリカ人は、働きぶりを聞くとビビっておもらししてしまうほど、猛烈に働く。彼らと比べれば、日本人の多くは明らかに彼らほど働いていない。将来、日本人の上司が中国人という日が来てもおかしくはないと感じる。

関係ないけど、たとえば日本の総理大臣も、中国かインドあたりから優秀な人材をヘッドハントしてもいいのではないか。カルロス・ゴーン氏のように、しがらみ(老人向け政策を重視しないと票が確保できない、建設業界や農業団体などからの圧力、先輩政治家や引退したはずの元老たちからの威圧など)から解放されて真に国益と日本の将来を考えた政治ができそうな気がする。

<ビジネス書の功罪>
しかし昨今、ラクしないと成果は出ないとか、残業ゼロ、定時で帰る、ワークライフバランスとかいう本が売れる風潮があるが、これこそ日本の国際競争力を失わせ、そして成功する人が減る元凶になるような気がしてならない。

もちろん、のんびり生きたい人がいても、それはそれで個人の自由だから、他人があれこれ言うべきではない。

著者によってアプローチは異なるし、テーマによってメッセージは異なってしかるべきだけど、ビジネス書は本来、成功するために読むもののはず。(成功をあきらめた人はビジネス書なんて読まないだろう)

でも、読者一般に、励まして欲しいとかラクして成功したいという願望があるから、そういう本が売れる傾向にある。でも僕はそんな本こそ、無責任な犯罪的書物だと思う。だって、そういう本の著者が若いときは、だいたい超モーレツに仕事をしてきて成功した人ばかりなのだから。

僕も33歳で資産3億円をつくった私の方法という本を出しているけど、ラクして儲かるなんてことは書いていない。正確には、ラクして儲かる方法を死にものぐるいで考え出した、という方が適切か。

これは僕も注意しなければならないことだけど、今の価値観や今の状態を前提に、若い世代に何かを言うのは誤解を招きやすいと思っている。たとえば「仕組み」なんて、言うのは簡単でも、そうやすやすとできるものじゃないわけです。

また、今やっていることでうまくいっているのもあるけれども、最初から一足飛びにはできない、過去の蓄積があって初めて成り立つ、というものもあるから、切り分けて読み取らなければならない。

でも、読みやすさ(文字の少なさ)を重視する昨今の本作りからは、その行間が抜けてしまうという欠点があり、なかなかそこまで伝えきれない。

スミマセン、これは僕も共犯者の一人です。しかし読者がそれを求めているなら、商業出版としてはやむを得ないのです。

これは僕の個人的感想に過ぎないけど、ショボかった自分が成功するために取り組んできたプロセスを振り返って、昔の自分と今の自分の差を埋めるのに役立った考え方・方法論・技術を読みたいと思うし、少なくとも僕はそういう視点で書くように意識している。本の売り上げを伸ばすために経験のないことを言うほど、僕は無責任にはなれない。

そういう意味でも、以前の記事で書いた2冊「世界一の庭師の仕事術」「坂本桂一の成功力」は、とても有用だと感じられた。少なくとも僕にとっては。

まあ実際、僕の周りの成功者で、残業しないで定時で帰る生活を送って大成した人は誰一人としていないんですよね…。
posted by 午堂登紀雄 at 10:05| Comment(2) | TrackBack(1) | 午堂登紀雄の独断と偏見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨日に続き面白い記事だと思いトラックバックさせていただきました。

午堂さんの著書はとてもわかりやすく質の高いものなので逆をいかないようにします。
Posted by Shin at 2009年05月22日 00:00
>Shinさま

ありがとうございます!
大変励まされるお言葉です。
これからも質の高い本が出せるよう努力します!
Posted by 午堂登紀雄 at 2009年05月22日 11:29
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