三重県はまん延防止措置の最中ということと、当日は雨模様だったこともあるのでしょうが、驚くほどガラガラでした。
広大な駐車場には車が30台ほど?
園内も人はまばらで、アトラクションは行列どころか閑古鳥。
ジェットコースターも客が1組で走らせる状況。
なのに丁寧にアナウンスするスタッフがむしろ気の毒な感じだ。。。
広大なレストランにも客が1組2組ほどで、私たちが入ったレストランも1,000人は収容できそうな大きさなのに、客はウチらだけ。
とにかくほぼ貸し切り状態。
年間で最も人が多いはずのGWにこれは。。
アトラクションも設備もお金がかかっていそうで、ほとんどは量産品ではなく特注のワンオフ工事でしょうから、どれも結構なお値段がしそう。。
しかしこれではとても回収できそうもありません。
私は「もし自分が経営者だったら?」と考えるのが習慣になっていて、もし自分がこのテーマパークの経営者なら、悲惨すぎて目を覆いたくなると思いました。
というか、もう泣きたいですね、これは。。
・何が問題なのか?
確かにお金をかけているのでしょうが、いかんせんスペインを想起させるストーリー性がまったく感じられないアトラクションばかり。
スペインの何を伝えたくて何を表現しているのかよくわからない。
そもそも日本人にスペインへの馴染みがなく、イメージも豊富に持ってはいない。
スペインに対するこれといった憧れも、「これこそがザ・スペインだ」という特徴もない。
だからぼんやりしてしまうのでしょう。
レストランの料理もパエリアが多いのですが、子どもが好みそうもなく、家族連れにはしんどい。
というか、子どもが食べたがるものがない。(うちの子はラーメンやうどんが好物・笑)
味も至って普通。
さらにお酒やつまみのメニューが貧弱過ぎて、これではお父さんが満足できないずです。私も不満でした。
歩き回って疲れたら、やっぱ飲みたいよねえ。。
なのに入場パスポート料金は結構なお値段。
一度来たらもうおしまいで二度とは来ないな、という印象です。
子どもも、小学生低学年まではともかく、高学年以上になればつまらないと思います。
天気が晴れでも、コロナがなくても、これではやっていけないでしょう。
たとえば東京ドイツ村は、花畑・イルミネーション・テレビ番組ロケ地などで活路を見出しています。
それでも東京圏という大市場に近接しているので、ディズニーランドという強大な競合があったもそこそこ人が来るわけですが、志摩は名古屋からも大阪からも結構な距離があり、よほどの魅力がないと人が来ない。
ハウステンボスもHISが引き受けて改善しましたね。
志摩スペイン村は、このままでは早晩、廃業に追い込まれるような気がします。
GWにあの客数では、平日や普段の週末は推して知るべし。
いつまでも耐えられない。
などと好き放題書いていますが、もし志摩スペイン村のファンや関係者の人が読んでおられましたら、すみません、お気を悪くなさらないでください。
誹謗中傷するつもりはまったくなく、私の勝手な感想なので、適当にスルーお願いします。
で、もし私が経営再建を依頼されたらどうするかを考えてみました。
まずはこれまでの経緯のヒアリングと、現場の意見を聞いて回るのが最初の仕事になると思います。
いきなり上からの改革では、現場はやらされ感で「やってらんねー」となりますから。
スタッたちも問題意識ややりたいことがあり、モチベーションの妨げになっている不満などもあるはず。
だからまずはそういう意見やアイデアを引き出す。
また、債務も残っているでしょうから、当然ながら融資している銀行などとの協議が必要と思います。
そして、コストカットと集客を同時にやっていく。
たとえばこんな感じ。
・入場無料
そもそもアトラクションがつまらないので、割高な印象があるパスポート料金がハードルになっています。
私も、「えっ、こんな値段するの?」と驚きました。
そこで、もはや「巨大な公園」として割り切り、入場無料にして無料開放する。
家族連れもカップルも愛犬家も誰でもウェルカム。
アトラクションは別料金。
パスポートにすると、「全部乗ろう」となって人気度がわからないので、チケット制にしてもいいかもしれない。
それでアトラクションごとにお金をとれば、人気のあるなしがモロに出ますから、人を集められるアトラクションに集中し、集められないところは廃止・撤去するか放置する。
実際、ただの街並みを再現しただけの通りには、これ以上お金をかけても仕方がないと感じました。
そこを通っても「ふう〜ん」で終わり、つまらなかったです。
むろん、改修して魅力的なアトラクションにできる可能性がありますが、改修費の方が高額になってコスト的にペイしなさそうな感じです。
・スペインに固執しない
フラメンコは子どもは興味がないし、ステージでのミュージカルも観ましたが、いったい何を表現しているのかよくわからない。
夜のパレードも写真から想像するに、チープで子どもだましの印象があるので、いったんやめる。
(私が行った当日は雨天のため中止だったため、未経験です)
コストがかかる割に中途半端感が出やすい花火などもやめる。
ディズニーのように知名度があるキャラクターが出るわけでもなく、ねぶた祭りなどのような熱気があるものでもないでしょう。
すると、「何かが通ってる」くらいのインパクトしかなく、客を呼べない。
しかし、だからといってダンサーを解雇するわけにはいかない。
そこでスペインにこだわらず、もっと有名な楽曲や流行の作品を使ったダンスミュージカルの方が、大人も子どもも、家族連れもカップルも楽しめると思います。
いまならたとえば鬼滅の刃とかるろうに剣心とか進撃の巨人とか?笑
たとえば昨年の紅白でLisaさんが歌った「紅蓮華」「炎」のリミックスでダンスミュージカルをすれば、子どもたちも大喜びするはずです。
進撃の巨人の「紅蓮の弓矢」も、多くの中高生が立体起動装置の真似をして動画をYou Tubeにアップしていましたから、そういうのはウケると思います。
振付は外注に出さず、現場のダンサーたちに考えてもらおう。
コスト削減には内製です。
90年代ポップスを使えば、30代後半から40代のパパママが喜ぶ。
料理も、もっと子ども向けメニューを充実させる。
歩きながら食べられるスナックフードがあってもいい。
あとで述べるナイトパーク化に対応し、お酒とつまみのメニューを充実させる。
・光と音楽と映像のナイトパークへ
一方、素晴らしいのは入り口近くの建物、噴水池といった風景です。
これらは良くできている。
なのに、夜のイルミネーションによる演出は多少はやっているようですが、規模が小さく中途半端。
これでは話題にもならないし、感動も薄い。
そこでもっと大胆に、音楽に合わせて建物にプロジェクションマッピングをするとか。
建物は立派なので、ここにプロジェクションマッピングを投影し、大音響サラウンドでポップスやオーケストラ音楽に合わせると、かなりの迫力になると思います。
これも最初だけは外注に出したとしても、それはスタッフの研修・訓練を兼ね、以降は内製できるようにする。
それとテーマパークで不満なのが、「音響の貧弱さ」です。
これはUSJでもディズニーランドでも同じく、たぶん聴覚過敏や幼児等にも配慮しているのだと思いますが、パンチがない音響は感動も没入感も薄い。
私は音響にはうるさい方で、以前も車の中で5.1chサラウンドを自分で組み、ウーファーもパワーアンプで増幅して映画館のように改造したことがあるくらいです。
過去にもJBLとか、今乗っている車もDIATONEという三菱の有名なブランドのアンプでさらにチューニングしています。
夜はオトナがメインということで「うるさい」という苦情は割り切り、数十個のスピーカーでサラウンド効果を出し、会話ができないほどの音量、迫力の重低音で立体音楽を流す。
これは結構アガりますよ!
噴水も、ラスベガスのホテル「ベラージオ」のような音楽と合わせた演出をするとか。
(やってるのかな?夜は行ってないのでわかりませんが)
私もベラージオの噴水を見たことがあるのですが、なかなかの迫力と感動がありました。
日本でも確かよみうりランドが大規模にやってましたっけ。
先ほど、ただの街並みを再現しただけの通りがあると書きましたが、こうしたエリアごとにテーマを変えたロックやダンスミュージックをかけて、歩いても楽しくなるようにするとか。
エリアごとにミュージックとライトアップのテーマを変えて同時開催し、パーク全体を光と音楽のフェス会場にする。
ポップス、ロック、オーケストラ、アニメ音楽、バラードなどなど、客は自分の好みの音楽が流れるエリアに三々五々と分かれていく。
ポケモンGOみたいな園内宝探しイベントをやってもいい。
それで、カップルの夜のデートスポット、感度が高い女子の「映え」スポットにする。
女子ウケするなら必ず男性が誘いますからね。
入場無料なら誘因力は強いはず。
そうやって夜に客を呼べれば、必ず酒食の需要が生まれます。
それこそ夜景を見ながらスペインバルでお酒を飲むというのもいいでしょうし、サングリア飲み放題というのがあってもいい。
スペイン各地の地元ワインを飲みながら園内を回るスタンプラリーのワイン版を作り、ひとり500円で提供するとか。
「夜の顔」を前面に押し出すことで、「昼の街」と「夜の街」が明確に分かれ、競合(になるのかな?)のUSJなどとも差別化できる。
「昼はコドモ、夜はオトナ」が楽しめるパークというわけです。
・新規投資
おそらく累損がかなりの規模で残っていて毎年赤字だと思います。
なので取引銀行から追加の融資を引き出すのはなかなか難しいと思います。
きっとお金もないはず。
ですがもし新規投資が可能なら、
・アスレチック施設
・バーベキュー場
・キャンプ場
を作ると思います。
アスレチックは小学生とその家族を呼べます。
とにかくアスレチック施設は子どもを惹きつけるマグネット効果が非常に高いのです。
屋外で思いっきり身体を動かし、へとへとに疲れ、帰りの車の中で爆睡するというのは、健康な子どもの過ごし方のような気がするのはどの親も同じなのでしょう。
ウチの子も、アスレチックやふわふわドームとかも大好きです。
公園に併設されるようなチープなアスレチックではなく、未就学児コース、小中学生コース、難関コースと分かれる日本最大級規模のものです。(しかしそんな土地あるかな?)
そして料金も、1人500円などとハードルを下げる。
バーベキューは安直に見えますが、家族だけでなく若者グループを呼べます。
食材はレストランのものと共用すれば無駄がない。
持ち込み可なら、基本料金をもらう。
持ち込みがないなら、基本料金はナシ。
レストランの一部を改修してお酒のテイクアウトスタンドを設置し、バーベキューの客が自由に取りに来られるようにする。
人件費を削減するため、オートビアサーバーをずらりと並べて(同様に、チューハイやハイボールもオートサーバーに)、時間制の飲み放題にする。
クラフトビールがあってもいいな・笑
キャンプも安直とはいえいま流行りなので、やはり家族を呼べる。
キャンプ施設はあまりお金がかからないので、場所だけでしょう。
ユニークな形状のキャンプを固定設営するという方法もあり、ホテルライクなキャンプ体験でもよいかもしれない。
いわゆるグランピングですね。
結構な投資額が必要ですが、女性も楽しめる。
キャンプ場でもバーベキューありにすれば、同様にお酒が売れるかもしれない。
とにかくここはお酒のラインナップがしょぼいんですから。
USJやディズニーランドにも共通して弱いのが、先ほどの音響効果のほかに、このお酒・つまみの領域です。
てか、テーマパークは全般に弱い。
車を運転するパパだって、ランチビールを飲んだとしても夜帰るころにはアルコールは抜けていますから(人によりますけど)、ガチガチに考えることはないでしょう。
あるいは行きはパパが運転し、帰りはママ(あるいはジジ・ババ)が運転すれば、パパは安心して飲める!
飲み過ぎたらキャンプ場やグランピング施設に泊まっていただきましょう!
・博物館もアトラクションに
あと、しょーもない博物館(失礼)があるのですが、これが本当につまらない・苦笑
これを、たとえばゲーセン、室内遊戯施設、トリックアート、迷路、サバイバルゲーム施設、ローラースケート・スケボー施設、屋内アスレチック施設などに変更。
チームラボみたいな施設にすれば、幼児や未就学児を持つ親が来そうです。
あるいは出版社と組んで、1〜2か月単位で漫画の作品展・グッズ販売・コスプレイベント(同人誌の出店も無料にする)をやる。
たとえば今月は「呪術回戦特集」で、アニメのセル画、キャラクターグッズ、同人誌、コスプレ撮影会。
来月は「ソードアートオンライン」、次の月は「僕のヒーローアカデミア」とかとか。。
ううむ、月ごとはさすがに目まぐるしいので、2〜3か月ごとですかね。
すると、それらのファンが来てくれるため、閑散期対策にもなる。
アニメファンはそれが平日だろうと、会社を休んででも来るからです。
先ほどのプロジェクションマッピングも、そのアニメに連動して見どころのシーンを放映してもいいですしね。
(鬼滅の刃の19話などは何度見ても涙が出ます^^)
入場は無料なので来やすいし、ついでにレストランに寄ってくれる期待もある。
そしてこれらを、中途半端にやるのではなく、「西日本最大級」「日本最大級」ぐらいに思い切って振り切る。
とにかく中途半端が最もマズいやり方です。
多少トリッキーでもいい。
スペインにこだわっている場合ではない。
キャラクターラインナップが分厚いディズニーやUSJとは違うのですから。
良くも悪くも話題作りが必要です。
テレビ取材やSNSで拡散されるような仕掛けを連続して繰り出し続ける。
・テレビ取材
なので、この改革の取り組みをテレビ局に売り込み、密着ドキュメンタリー番組として放送してもらえないか交渉するとか。
なんてことを考えてみました。
それで繰り返しになりますが、これは単なる私個人の頭の体操ですので、ファンや関係者の皆さまへの批判などではありませんので念のため。
「コイツ、何もわかっていない」と思われるかもしれませんが、実際何もわかっていないし何も調べてもいないので、的外れなことがあっても当然です。
それでも、もっと時間をかけるとまだまだアイデアが出てきます。
もっとフードトラックを増やして賑やかさを演出したら入場無料でも飲食で多少は補えるかもしれないとか、いろいろ思いつくのですがキリがないのでこの辺りで。。
ここで大事なことは、「このアイデアはいい・しょぼい」「どれが正解か不正解か」ということではありません。
「自分ならどうするか」を考える習慣の重要性です。
批判だけなら誰でもできるけれど、そんな意見に意味などないでしょう。
(実際にはそういう人が大多数ですが、無意味なことをやっているということにすら気づかないものです)
何も材料がない状態で、自分が直接見聞きし経験した中だけで、自分の頭の中にある情報を組み合わせてひねり出すのです。
おそらく検索すれば、志摩スペイン村の分析記事とか、提言はたくさんあるかもしれません。
だからもしそれらを見ると、被っているとか、チープだとか感じるかもしれません。
でもそんなのでヒントを得たらその情報に流されるし、何より自分で考えたことにはならない。
「どう考えたらいいかわからない」と感じても、それすら「自分で考える」。
とにかく白紙状態から考える。
この訓練が脳を鍛える。
で、考えたあとでなら、そういう分析記事やら他のテーマパークの改革事例を見てもいい。
私もこの「どこでもコンサル」(自分がコンサルタントになったつもりで考える)を確か27歳ぐらいのときからやり始め、おかげで戦略コンサルの入社試験(面接が10回もある!)を突破できたと思っています。
起業してからは「どこでも社長」(自分が社長になったつもりで考える)の作業を継続していますから、もう20年以上やっています。
100本ノックどころではなく、すでに1万本ノック級ですから、これで相当な力がついたと思っています。
実際、何かをやろうとしたときに「まったくアイデアが出ない」ということはまずありません。
たいてい打開策が見つかります。
この「何かアイデアが見つかる」という自信は生きる勇気にもなります。
悩みや不安からも解放されます。
以前書いた通り「アイデアマンは悩まない」というのは、悩みすら課題にして解決できるからです。
考える「地力」をつけるには非常に有効な方法だと思うのでおススメです。